〜ビルの屋上の水たまりにも、微小生物はいるの?

 雨が降ると、水たまりが出来ます。土壌などからの有機物や、バクテリアによって水は濁っ てきますが、水は濁ったままでしょうか?いいえ、微小生物によって、浄化されていきます。微小生物はどこからきたのでしょうか?もちろん生物は自然発生し ません。19世紀に行われたパスツールの実験は有名ですね。昔、繊毛虫の仲間は滴中類(てきちゅうるい)ともいわれ、水の中に自然にわくと考えられていま した。これは、花瓶の中などに、繊毛虫の仲間が出現するからです。微小生物はどこからきたのでしょうか?

 微小生物の一部にはシストと言う形態を取るものがいます。シ ストとは微小生物が体表に堅固な膜を分泌して一時的に休止状態にあるものです。乾燥・高温・寒冷といった外界の環境条件によって、 シスト(嚢子)となってその環境に耐えることができるわけです。これらのシストが風で運ばれてくるこ とがあります。微小生物がどこからやってくるのか考えるのは、とっても興味深いことだと思います。

<実験:屋上に人 工水たまりを作る>

バットに以下の溶液を入れて、鳥や昆虫が入り込まないように、網で被います。4日から2週 間、野外である屋上にそのまま静置しました。(下写真)

(1)ナ チュラル・ミネラル・ウォータ(南アルプス天然水、サントリー)



(2) 家庭園芸専用肥料ハイポネックス(5-10-5HYPONeX、HYPONeX社)(窒素(N)、燐酸(P)、カリ(K)の比率が5-10-5)原液を、 コンビニで買うことのできるナチュラル・ミネラル・ウォータ(この場合、南アルプス天然水、サントリー)で5000倍希釈したもの。

→これは地中にあると思わ れる無機塩類を添加しました。


(3)ヒト用の滋養食品で あるカロリーメイト(流動タイプ)(大塚製薬)を、ナチュラル・ミネラル・ウォータで10000倍希釈したもの。

→これは有機物として添加しました。

(4)ゾウリムシの培養液 (下記参照)を、ナチュラル・ミネラル・ウォータで20倍希釈したもの。

→これは、繊毛虫のエサになるものとして添加しました。


 ※ゾウリムシ培養液の作り方

 新鮮なレタスの葉の重 さをはかり、流水で洗浄しさらに純水で洗います。これらの葉は、水をきって熱湯に2〜3秒間浸し、種々の酵素を不活性化した後、ミキサーにかけます。これ を、ガーゼ(6〜8枚かさね)でこします。この抽出液を葉の生重量1gあたり2mlになるように純水で希釈して原液とします。この原液を小ガラス器に分注 し、綿栓をして間欠滅菌(100℃10分、3日間くらい)をおこないます。滅菌後は冷蔵庫に保存し、使用前日にドリル液で20〜30倍に希釈しバクテリア を移植します。この培養液を用いるとひじょうに高い増殖率が得られます。

 ドリル液: 0.1Mクエン酸ナトリウム 20ml、0.1Mリン酸一ナトリウム 6ml、0.1Mリン酸二ナトリウム 14ml、蒸留水 945ml、0.1M塩化カルシウム 15ml。以上を順に混合します。pHは6.8〜7.0となります。滅菌が必要なばあいには0.1M塩化カルシウムは別に滅菌し、冷却後混合します。 


<結果>
(2)(3)(4)の人工水たまりの水の中に、実体顕微鏡で生物 を確認できました。実体顕微鏡で観察されたもので最も良く出現した生物は繊毛虫コルポダ類でした。
(画像)



出現する微小生物の種類は、水たまりの水の状態でも変わってくるかも知れませ ん。いろいろ試してしてみてください。

人工水たまりの中では遷移のような現象が見ら れ、1つのバットでも観察日を変えると、はじめの観察では見つからなかった生物が新たに観察されることがあります。一回目の観察で、なにも観察されなくて も、あきらめてはいけません。シストから遊泳体に戻るには三日間もかかるものもあります。また、微小生物はある程度増殖していないと、発見しにくいもので す。

※全ての微小生物がシストを形成するわけではありません。例えば、ゾウリムシではシスト形成は確認されていません。


微小生物は空気中からも
採集に行くには

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