ゾウリムシParamecium caudatumの接合は有性生殖の一形態で、減数分裂、受精、大核・小核の分化、若返りなどの現象が含まれ、教材としてもよく用いられる。しかし、接合の誘導は教育現場で必ずしも簡単ではないようである。その理由は、接合誘導条件を正しく理解していないことにもよる。

 一般にゾウリムシは、急速な増殖期を経て定常期に入ると接合が誘導される。この時、相補的な接合型の細胞を混ぜると強い凝集反応が起こる。野外でゾウリムシを見つけたら、同じ場所から1細胞ずつ分離し、1細胞から増やした株(クローン)を10〜20株作り、それらの間で接合を誘導してみると相補的な接合型が見つかることが多い。また、ゾウリムシには接合後しばらく(接合後約50分裂)の間、接合が誘導されない未熟期がある。

 したがって、ゾウリムシの接合を誘導するには、(1)混ぜる株が互いに相補的な接合型で、(2)成熟し、(3)盛んな細胞分裂の後に餌を食べ尽くした状態にあることが必須条件である。また、水温が30℃を越えると難しい。

 これらの条件を満たす2株を混ぜると、すぐに性的な凝集反応が起こり、次第に大きな凝集魂となる。これは両細胞の口のある細胞側面の繊毛が互いに接着するために起こる。約1時間後、この凝集魂を形成していたペアー(接合体)を作る。それぞれの細胞では、配偶核の交換後、受精核が形成される。約半日後には、ペアーの2細胞は離れる。

 

 上の写真は、接合から約12.5時間後の細胞のフォイルゲン・ファーストグリーン二重染色像である。細胞の長径は約180μmで、小核は減数分裂を修了し、4核になった後、その内の1核は残り、有糸分裂をして移動核と静止核を形成し、残りの3核が退化している頃の写真である。

 

 

 ●上の写真は、ペアー形成までの実体顕微鏡像である。左は接合前のゾウリムシ、中央は性的な凝集反応の時期(接合型を混ぜて5分後)、右は約2時間後のペアー形成時の写真である。

 

 

MIKAMI Lab.

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